女性同士が力を合わせて向き合えること。女性同士だから分かり合えないこと。ジェンダー問題・すべての人が健康であること。

2020/12/29

女性同士が力を合わせて向き合えること。女性同士だから分かり合えないこと。ジェンダー問題・すべての人が健康であること。

女性が向き合うこと

アメリカで始まった#MeTooが日本に広まり、日本独自の # KuToo や #メガネ禁止 、そして、生理ちゃんというキャラクターで女性が声を上げるようになりました。ただ、女性のなかもで、声を上げられるタイプの人と、そうでない人はいます。ですので、女性を一括りにするのはとても危険だと感じています。

これは、先日「女性支援」の話でも書きましたが、女性といってもさまざまな状況で生きている人がいるからです。女性を一括りにしないで、という話から、今日は女性同士が力を合わせて変えていけることと、女性同士だから力を合わせられない、分かり合えないことを書かせていただきたます。

女性が力を合わせてできること

女性同士が力を合わせることができるのは、対社会や対男性であることです。主にこれまでの常識や、男性が女性に求めるものに違和感を覚えていたことを声を上げることです。前述した、#KuTooは、職場でハイヒールやパンプスを履くことが義務になっていることに対して社会運動でです。実際、ハイヒールやパンプスで足を痛めてしまう人は多く、ハイヒールやパンプスが履けなくなっている人もいます。#KuTooのあとに、#メガネ禁止=職場でメガネをかけることが許されない女性、も話題になりました。視力が弱い女性は多く、コンタクトを使っている方も増えました。

しかし、コンタクトが目に合わない人もいますし、目に何らかの症状が出てしばらくコンタクトが使えない状況になることもあります。そのようなときにメガネで仕事をすることが許されないのは違うのではないか? 体質や医学的な問題が起きているのに、メガネ禁止と言ってしまうのは違うのではないか、ということです。メガネを禁止されている職種には、大手百貨店や大手商業施設の受付がありますが、この受付を男性が行う場合はメガネでも問題ないのです。女性がメガネ禁止なのは、女性に求める見た目の問題、と考えると、5.ジェンダー平等を実践しよう、だけでなく、3.すべての人に健康と福祉を、10.人や国の不平等をなくそう、にも繋がります。

女性同士だから、分かり合えないこと(生理)

こういった問題は、女性が力を合わせて解決していくことですが、それ以外に女性同士だから分かり合えないこともあります。それが、生理(月経)であり、更年期障害であり、出産に関してのことだと考えています。まず、生理についてです。約40年付き合うことになる生理は、人によって症状が大きく違います。初潮の時期も個人差があります。小学生、中学生、高校生それぞれです。生理が来ないことで不安になることもあります。そして、生理になったあとの症状が大きな違いです。生理用品は日々進化し、症状が軽い人は普通に通学して体育の授業を受けることができる人もいます。また、タンポンを使うことに抵抗がない人は水泳の授業も受ける人もいるでしょう。しかし、腹痛が激しく起き上がることができない人や吐き気をもよおす人もいます。
 

私自身は、そんなにキツイ状態ではなかったので、通学も通勤もしていました。しかし、社会人になったときに、とても生理痛が重い先輩がいて、人によってこんなにも違うのか、ということを知ることになります。これは、自分自身がそうであるか、身近にそういう人がいて、実際に目にしないと分からないことです。症状が軽かった私も、子宮腺筋症になった後は、大量出血で服を汚してしまったこともあります(自宅が近く大事にはなりませんでしたが)。男性にとっては、女性同士だから分かり合えるだろうと思うことも、女性同士だから分かり合えないことも多いのです。そして、同性である女性から「生理くらいで」と言われるのは、何より辛いことです。

生理中ですと言える時代に

私が中学生の頃(30年以上前)は、生理中であることは隠すという風潮でした。というか恥ずかしいことだと思っていました。社会人になっても生理休暇があったのですが、無給であるうえに、生理であることを男性上司に言って休むのであれば、有給を取った方がよいという考えでした。しかし、2020年12月23日に以下の記事がでました。
 

「生理がきた、とはっきり言う人が増えた」 ガラケー時代から20年、ルナルナが見続けてきたもの
 

20年前と今では、大きく変わった世の中の状況があります。生理ちゃんと言うキャラクターには賛否両論がありましたが、1ヶ月のうち約1週間の生理は、人生で考えたら長いものです。また、生理中だけでなく、生理前の月経前症候群(PMS)も、人によって症状が違違います。一般的に言われている症状だけでも、Doctors Fileによると、以下のように書かれています。

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「イライラが高じて、人にあたってしまう」と家族や職場の人間関係に支障を来したり、「自分はなんて駄目な人間なのだろう」と落ち込んでしまったりする人も珍しくありません。

月経前症候群ではイライラや情緒不安定、うつ状態、自己評価や集中力の低下、眠気や睡眠障害、食欲不振や過食などの精神的症状のほか、おなかや乳房の張り・痛み、頭痛、腰痛、肩こり、むくみ、体重増加、めまい、肌トラブルなどの身体的症状が表れます。

症状の種類や程度、期間など、個人差が大きいのが特徴です。月経開始とともに、ほとんどの症状が軽快もしくは消失していきます。また、精神的症状が強くて生活に支障を来す場合、月経前症候群ではなく、月経前不快気分障害(PMDD)の可能性もあります。
Doctors File
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身体の問題から心の問題まで、幅広い症状はとても一括りにできることではありません。女性同士で分かり合うのは、生理を経験しているもの同士だからこそ、難しいことなのです。

女性同士だから、分かり合えないこと(更年期障害)

同じようなことが更年期障害でも起こります。これも人によって症状が大きく違います。Doctors Fileによると、以下のように書かれています。

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人によって症状はさまざま。更年期の症状はエストロゲンの減少だけではなく、心理的な要因や社会的・環境的な要因なども複雑に関与するため、全身にさまざまな症状が出る。

主な症状として、自律神経の乱れから起こる動悸や息切れ、のぼせ、ほてり、発汗異常などのほか、頭痛や腰痛、肩凝り、手足のしびれ、イライラ感、めまい、耳鳴り、不安感、不眠、食欲不振などがみられる。また、皮膚や粘膜の乾燥、ドライマウス、尿失禁、外陰部のかゆみなども生じる。
Doctors File
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こちらも身体の問題だけでなく、心の問題もあります。私は手の痛み、ヘバーデン結節、ブシャール結節の両方が起きました。ただ、その症状が更年期障害のひとつであることに気づくのに時間がかかりました。よく言われれる、ホットフラッシュなどはないので、これも本当に人それぞれだと思っています。
 

女性を一括りにしない、ということは、女性が力を合わせてジェンダー問題を解決していくことと、一人ずつの症状を互いに理解し合うこと、この2つが必要です。それができてこそ、3.すべての人に健康と福祉を が持続可能なことになります。
 

誰もが歳を重ねます。今10代の女の子もいずれ40代の女性になります。そのときに、更年期のことで辛い思いをしない環境作りをしていきたい、と考えています。

記事執筆:伊藤緑(広報ウーマンネット 代表)