コンビニスイーツ:落ちリンゴだからこの味で我慢してください、なんて商品は売れない!

2020/12/29

コンビニスイーツ:落ちリンゴだからこの味で我慢してください、なんて商品は売れない!

「落ちリンゴだから」を言い訳にしない

コンビニを舞台にしたドラマ『この恋あたためますか?』12月22日に最終回を迎えました。このドラマは恋愛ドラマですが、私はSDGsドラマとして見ていました。以前にも書きましたが、ドラマ内で落ちリンゴを使ったスイーツを企画するという話になった時から視点が変わり、より面白いと感じるようになりました。そして、12月15日に放送された回で、自分の視点がとても偏っていたことを自覚する発見がありました。『この恋あたためますか?』は、恋愛と並行してコンビニスイーツの企画がテーマになっています。

以前紹介したときの落ちリンゴ利用は“企業のSDGsとして”が前面に出ていました。落ちリンゴを使ってどんなコンビニスイーツを作るか? ということを主人公が考えます。ドラマ内では、その落ちリンゴでリンゴプリンを作ることになりました。しかし、その味に対しての言葉が、自分が無意識に考えていたことを打ち破ってくれました。食品以外ではこれまでも書いていたのに、食品に対しては考えが及んでいなかったことが恥ずかしくなりました。正確なセリフは、メモっていなかったので意味合いだけになってしまうのですが、「僕はこのリンゴプリンよりも美味しいリンゴプリンをたくさん知っている。このリンゴプリンは、落ちリンゴだから、この味で許してくださいとか我慢してください、という思いで作られている」という内容でした。その言葉は、私にとって衝撃的でした。落ちリンゴを使ってあげている、という気持ちがドラマを見ている私の中にもあったということです。

コンビニスイーツに訳アリはいらない。ライバルはすべてのスイーツ

訳ありだから安い、訳ありだけど味はそんなに変わらないから見た目は我慢、ということを理解したうえで、商品を購入することはあります。賞味期限が近い商品を販売するスーパーもあります。しかし、コンビニスイーツは、そんな理由で買いません。仕事帰りに立ち寄って今日の自分のご褒美に買うこともあるでしょう。または、他のものを買いに行ったときのついでに買うこともあるでしょう。そのとき考えるのはSDGsではなく、美味しいものを食べたいということです。コンビニスイーツはどんどん進化していますから、新しいものを挑戦したい方も多いでしょう。コンビニスイーツレビューを書いている方もたくさんいらっしゃいます。また、ドラマ内では被災地でもっとも求められたのがスイーツだという話題も出ていました。スイーツは、疲れた人を優しく包む力があります。コンビニという場所だから、そこでは美味しさが前面に出るべきなのです。美味しくなければ他のものを選びます。選択肢は左右にたくさん並んでいますから。落ちリンゴは言い訳にも理由にもならないのです。そして、企業のSDGs活動なんて、美味しいものを食べたいという思いが前に出たときは、消費者にとっては関係ないことなのです。しかし、多少美味しくない社会貢献している商品も売れ残れば、廃棄され食品ロスになります。であれば、作るべきは、社会問題を意識した商品だから我慢してね商品ではなく、社会問題を意識した商品だけど消費者が繰り返し買いたくなる商品です。そこまでの味にしなければならないということです。

ドラマ内では、「落ちリンゴだから、この味で許してくださいとか我慢してください、という思いで作られている」という言葉から、落ちリンゴのネガティブな部分を消すことから、ネガティブな部分をどう活かすかに考えを変えていきます(微妙にニュアンスが違うかもしれません)。そして、落ちリンゴだから許してねではない商品を産みだします。まさに以前、書かせていただいた、廃材や海洋ごみで作られているけれど、そんなことは知らずに格好いいから買っただけ、と同じことなのだと思います。

訳アリの進む道は2つ

自分が格好良いと思えば、人はそれが環境を意識しているものであるかどうかなど関係なく欲しいと思いますし、購入します。それと同じで、美味しいと思えば繰り返し購入します。落ちリンゴで作られたプリンのライバルは、同じように環境問題を意識したスイーツではなく、世の中にあるすべてのスイーツなのです。コンビニという場所も関係していることですが、これから私たちが行っていくことは、○○だからという理由を付けて敢えて安価で販売するものと、○○だからという理由なしで、新たな美味しさや格好よさを付加価値とした、無意識に誰もが買う商品の2つの道なのだと思います。いずれも食品ロスさせないことが目的です。

実際にコンビニとのコラボ

ドラマ『この恋あたためますか?』で開発された商品は、実際にセブン-イレブンとのコラボ商品として発売されています。宣伝の意味もありますが、ブームを作る作戦です。

発売された、コラボ商品は以下です。

「恋する火曜日のチョコっとリラックシュ~」
「恋する火曜日の極上パンプディング」
「恋する火曜日のチョコっとリラックシュ~」
「恋する火曜日のアップルクランブルチーズ」

ネットには、美味しいというスイーツレビューが書かれているのですが、「恋する火曜日のアップルクランブルチーズ」が、落ちリンゴで作られているかは、分からず、セブンイレブンのSDGs活動になっているかは分からないままです。しかし、代わりに分かったことは、コンビニは毎週新商品が発売されていることです。定番商品もありますが、コンビニは常に商品開発が続いていることを知ることができました。

https://twitter.com/maritansas0625/status/1341396378266837000?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1341396378266837000%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fsdgs-navi.com%2Ftopics%2F4345

コロナ禍で消費されないイチゴを江崎グリコがカプリコに

江崎グリコ株式会社から12月22日に以下のプレスリリースが出しています。

中止になったいちご狩りの余剰いちごを使用 カプリコミニ大袋<いちご狩り>を2020年12月22日(火)より限定発売。「コロナ禍でも、いちごのおいしさや魅力を伝えたい!」“こども記者”が手作り新聞で和泉市のいちご農園を応援

また、oisixは、“昨今の情勢の影響で日本酒の出荷量が減り、酒米の減産が迫られています。日本酒の原料となる酒米。兵庫県特産のブランド酒米「山田錦」がいま、苦境に立たされています。”として、11月26日発売のお酒(山田錦)用の米を使った新商品「酒米リゾットのプレゼント企画」を行っています。

食材をロスさせないために、必要なことのひとつは加工品にすることです。特にコロナ禍の今、落ちリンゴだけでなく、行き場を失ったしまった食材、そのまま使えない食材を加工し、今すぐ食べなくても良いものに変えていくことは必要ではないでしょうか? これらは人間が考えていかなければならないことです。

そして、それらはきちんと消費されるものにする。食品ロスにさせないことも、合わせて考えることです。廃棄に掛かる費用や燃やすことによるCO2の排出も関わるからです。また、廃棄する際には、廃棄物発電も今後考えて行く必要があります。

記事執筆:伊藤緑(広報ウーマンネット 代表)