10代は専業主婦をどう考えているのか?

2021/05/31

10代は専業主婦をどう考えているのか?

専業主婦は、ある意味新鮮なのかもしれない。

2021年4月2日に結婚を発表した、お笑い芸人の有吉弘行さんとフリーアナウンサーの夏目三久さん。芸能人同士の結婚は珍しいことではありませんが、5月に放送された番組で、夏目三久さんが「秋で仕事を全部辞めようかなと思いまして」と話したことで、“専業主婦”という言葉が、ネット上を賑わせました。

芸能人でいうと、1980年に結婚された山口百恵さんは、芸能の仕事を一切辞めて家庭に入られました。その徹底した姿が伝説にもなるほどです。専業主婦になる、ということは約40年前の日本では当たり前のことでした。私は1987年に社会人になっていますが、1995年に退職するまで、私が所属した部署の女性の先輩たちは皆、結婚退職か出産退職で辞めていました。私が初めての“自己都合退職”でした。そのくらい結婚して家庭に入ることが当たり前に思われていた時代です。しかし、時代は変わりました。男女雇用機会均等法もありますが、女性が働く環境が整ったこと、女性の社会進出を謳う時代になりました。それ以外にも、残念ながら女性も働かないと生活が厳しいという現実もあります。ポジティブな理由なだけでなく、いろんな理由で女性は働くようになりました。

そんな今、働く女性として活躍する夏目さんがおっしゃった“全部仕事をやめようかな”という言葉は、とてもインパクトがあったように感じます。生活面では夏目さんが仕事をしなくても困ることはないでしょう。しかし、これまでの経験から、仕事を手放すのはもったいないのでは? と考える方もいると思います。まさに社会で活躍する女性がひとつ減るのですから。

いろんな理由で女性も働くようになった日本、1980年から結婚した夫婦の働き方はどう変わったのかを調べてみました。厚生労働省が発表している、「共働き等世帯数の年次推移」というグラフがあります。

ポイントとなる数字は以下の通りです1980年から始まっているグラフは、1985年の男女雇用機会均等法を経て、1991年に数字が近づき、1997年以降は逆転した数字が続いています。

1980年:男性雇用者と無業の妻からなる世帯1114万 雇用者共働きの世帯614万
1991年:男性雇用者と無業の妻からなる世帯888万 雇用者共働きの世帯877万
1997年:男性雇用者と無業の妻からなる世帯921万 雇用者共働きの世帯949万
2019年:男性雇用者と無業の妻からなる世帯1245万 雇用者共働きの世帯582万

という推移になっています。
1980年と2019年では、数字が真逆になっているのが分かります。

共働き等世帯数の年次推移
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/02-01-01-03.html

これから社会に出る世代は、専業主婦をどう考えているのか?

現在50代以上の世代は、母親が専業主婦であったという人も多いでしょう。自分の親が働いていたとしても友だちの親は専業主婦だったという人もいると思います。しかし、今の10代や20代が見ている環境が違うように感じます。正社員・契約社員・派遣社員・パートなど、働き方はさまざまですが、働く母親を見て育った人が多いのではないでしょうか? 専業主婦は、前述の数字をみても減っていることは明らかですので、働く母親を持つ子どもは増えていると思います。

しかし、家の中の仕事(家事)がなくなったわけではありません。ただ、家事は家電の進化や食材の変化により、以前より時間を掛けなくても良くなりました。そして、家事代行サービスという、家事をアウトソーシングする会社も増えています。家政婦という言葉は以前からありますが、高額所得者でなくても必要に応じて家事代行サービスで家事の手助けをしてもらうことが可能になりました。

以下のサイトには、
【2021年版】家事代行サービスランキング10選《家事代行のプロが実際に利用して徹底比較》
“家事代行サービスとは、プロのスタッフがお客様の家に訪問し、掃除や洗濯、料理などの家事を代わりに行うサービスのことです。”と書かれています。

家事という仕事には、価格がつけられない時代が続きましたが、今は明確に価格がついています。そして、プロのスタッフが存在します。家事は立派な仕事だという時代に変わってきたのです。

家事代行サービスを行う会社は増えており、仕事として家事を行う方が増えているのです。

2021年4月9日に出ている記事では、家事代行サービスの市場が伸びていくだろうと、予想されています。
2025年には8,000億円!? 家事代行サービスの市場規模

2021年1月1日~1月5日に調査された「家事代行サービスに関するアンケート調査(第2回)」では、家事代行を利用した人の数字が出ています。

“直近1年間家事代行サービス利用者は全体の約5%、30代では約7%。「掃除代行、ハウスクリーニング」が約3%。直近1年間利用者のうち、定期的な利用は約66%、スポット・単発利用のみは3割弱。”
と書かれています。全体から見ると低い割合ですが、定期的な利用は66%となっています。

また、家事は女性が行うという考え方も少しずつ変わっていっているように感じます。2020年7月期に放送されたドラマ『私の家政夫ナギサさん』では男性が家事を行っていました。女性だから家事が得意、男性だから家事が苦手という時代ではなくなっていきますし、女性だから家事をする、という考え方も変わってきています。

家事は、報酬が発生する仕事と認知されるようになるのか?

女性の社会進出を謳いながら、2020年に「指導的地位の女性割合30%程度」という目標を先送りにした日本ですが、共働きの世帯は明らかに増えています。

そのなかで、今の10代は専業主婦/専業主夫に対して、どんな考えもっているか? を知りたいと思っています。今の10代女性は、専業主婦になることを望んでいるのか? 社会に出て働きたいのか? また、男性は専業主夫をどう考えているのか? また、家事代行の仕事に就きたい人たちがどのくらいるのか? 家事を仕事と捉える意識がどれくらいか? も合わせて知りたいと考えています。

ビジネス特化型SNSのリンクトイン(LinkedIn)の職業欄に、“主婦/主夫”という雇用形態が加えられました。これは、“「主婦(夫)をキャリアとして反映できる方法が欲しい」という声”があったからだといいます。主婦/主夫がキャリアになる日は、近いのかもしれません。

●家庭の時間も立派な「キャリア」、リンクトインが「主婦(夫)」向け新機能を発表
https://www.businessinsider.jp/post-236481

最後に、「あなたの家事は月給いくら?」というサイトがありますので、紹介しておきます。
https://www.happy-bears.com/shindan/

記事執筆:伊藤緑(広報ウーマンネット 代表)