家庭から食品を寄付できる「フードドライブ」が身近になる。しかし、問題もある。
家庭から食品を寄付できる「フードドライブ」が身近になる。しかし、問題もある。
食べきれないほど多くのものや、自分好みでないものをもらってしまったら。
近所付き合いが希薄でなかった頃、食べきれないほど多くのものをもらってしまったり、自分が苦手なものをもらってしまったりしたときは、ご近所さんにお裾分けという文化がありました。しかし今、都心では隣に住んでいる人を知らないということもよくある話です。また、コロナ禍で友達や知り合いと頻繁に会えなくなりました。そんななか注目されているのが、一般の家庭からの食品を寄付する仕組み「フードドライブ」です。自治体や企業、大学などでも行われているようです。検索をすると、自治体の情報が多くでてくることが分かります。
例えば、
目黒区では、『フードドライブの受付窓口を常設します!』(2021年4月2日)
“食品ロス削減の取組の一つとして、令和3年4月12日から、エコライフめぐろ推進協会にフードドライブ常設窓口を設置し、通年での受け取りを開始します。”という情報が出ています。
しかし、持ち込めるものには条件があります。
・賞味期限の記載があり、2か月以上先の食品で常温保存が可能なもの(米は精米日から2年以内)
・包装や外装が破損していない未開封の食品
・商品の詳細がラベル等で日本語表記されている食品
集まった食品は、区内の福祉施設などに寄付されるます。
世田谷区には、8か所の常設のフードドライブがあります。
フードドライブ(未使用食品等の回収)情報(令和3年7月10日)
日本福祉大学では、『学内で「フードドライブ」を実施しました』(2021年01月08日)
“2020年12月22日~25日、美浜キャンパスにおいて「フードドライブ」を開催、約100名の学生が、お米・缶詰・乾麺・野菜ジュース等の食料品を受け取りました。”
大学では、学生が受け取ります。
フードバンクとの違い
フードバンクとどう違うの? という方もいらっしゃると思います。フードバンクは、企業や農家から寄付されるものです。
農林水産省のサイトです。
海外で盛んだったフードドライブが、日本でも注目されるようになり、私たちのSDGsへの参加のハードルが下がったと感じています。
しかし問題も。ボランティアだけに頼ってはいけない。
新しい仕組みができれば、そこには場所と人が必要になります。集まったものを受け取る人、仕分ける人、配布する人。人が動けば、人件費が掛かります。社会のためなので、ボランティアと考える方もいると思いますし、そういうことに積極的な方もたくさんいらっしゃいます。しかし、SDGsは、持続可能と謳っています。個人的にボランティアだけでは持続は難しいと感じています。
農林水産省のサイトです。
“近年、我が国において、未利用食品を福祉施設等で活用する民間のフードバンク活動の推進の必要性が増している。一方、米国では、フードバンク活動に対して予算や税制等により政策的な支援が行われている状況にある。”
SDGsとボランティアは、紐づけられることが多いですが、持続可能にするためには、ボランティアだけに頼っていては止まってしまうこともあります。誰かの好意だけでは、持続可能は難しいことです。また、フードドライブのように、家庭から持ち込めまれるものの安全性に不安を感じている人もいます。日本は、安全な国と言われていますが、以下の記事が出ています
「世界一安全な都市」はコペンハーゲン 東京は4連続の総合首位ならずも「医療・健康環境」で1位(2021年09月06日)
東京は、3年連続首位だったのですが、5位に後退しています。いろんな意味での安全がありますが、日本でもこれまでにない犯罪が増えています。
誰かの良心や自主性というボランティアだけに頼るのではなく、システム化し常設できるフードドライブが増え、安心して食品を手にできることが必要だと感じます。
記事執筆:伊藤緑(広報ウーマンネット 代表)