ブームにしてはいけない“持続可能”な活動。小さくても続けられることを。

2021/11/30

ブームにしてはいけない“持続可能”な活動。小さくても続けられることを。

SDGsはブームではない

2021年に入ってSDGsという言葉を、以前より耳にするようになり、メディアが多く取り上げるようになりました。そして、企業も自社のSDGs活動について積極的にリリースを配信するようになっています。しかし、SDGsは今年始まったものではなく、「SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標」です。5年を経てやっと動き出したという印象が否めません。正直、当初は難しいこと、自分には関係ないこと、大手企業がやること、のように思われていた印象もあります。しかし、今は、“身近”や“今日からできる”、“日常に取り入れる”という言葉でSDGsを語る場面が増えてきました。私自身、そのような依頼で話すことが出てきています。

ここでコラムを書き始めたときから、日本で一番分かりやすい、ということを目指していましたので、概念ではなく、身近な事例や個人でもできることを意識して書いています。しかし、身近な事例や個人でできることにも問題はあります。それは、継続できるかどうかです。

若者のサステナブル疲れ

2021年の夏に、以下の記事が出ました。
若者の“サステナブル疲れ”に若新雄純氏「人間の尽きない欲望の持続可能性を考えるべき」
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「SNS、例えばInstagramだったりとかで、『このサステナブル商品を買いました』みたいなことを発信する子がいて、私たちは『サステナブル・マウンティング』と呼んでいたりもする。
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以前、Z世代こそ、SDGsに関心が高いというようなことを書きましたが、それは一部のZ世代です。SDGsに関心を持つかどうかは、どんな仕事に興味をもつかと同じくらいことか、と思っています。人それぞれ考え方がありますから。ただ、就活という場面で、SDGsへの意識が高いことが有利に働けば、学生はそれを武器にします。しかし、その武器は一時的なもの。先ほど引用した『サステナブル・マウンティング』は、まさにそのひとつかもしれません。

SDGsの目標は2030年となっていますが、2030年で終わるものではありません。永遠に続くものです。だからこそ、持続可能なのです。

無理なことは続けられない

やったら良いけれど、自分にはできないこと。は正直誰にでもあります。便利になった世の中で、敢えて不便を楽しめる人と、そうでない人がいます。しかし、それは場面によって違うはず。できることをすれば良い。そんな風に思っています。

17の目標167のターゲットすべてを行うことは無理です。無理だからこそ、選択肢が多いのです。SDGsで言われる多様性のように、自分に向くものを選んでよいとも思っています。

私は炭酸水が好きなので、どうしてもペットボトルを購入してしまいます。これは正直辞められません。このような記事を書いているのに、恥ずかしいことなのかもしれませんが、ペットボトルは買わないよ、と嘘はつきません。しかし、その変わりに炭酸水以外では、ペットボトルを減らすことを考えています。自宅で飲むものは麦茶を自分で作っています。これは、継続してできることだからです。そして、ペットボトルを捨てるときは蓋とカバーを外す。これも習慣になりました。できること、できないことを、それは人それぞれです。

そして、それは誰かに自慢するためにやることではありません。承認欲求という言葉が言われる時代ですが、承認されなければやらないことは持続できないことです。なぜなら永遠に承認され続けることはないからです。

もっと危機感を持たなければならないのですが、自分が苦しくなってしまうほどの制限は、「3.すべての人に健康と福祉を」に反してしまいます。できる場面での活動を長く続けていきたい、そんな風に考えています。

一人ひとりが行うことは小さなことですが、小さなことが積もって形になっていくのも現実です。自分くらいやらなくてもではなく、自分ができる小さなことも集まれば大きなことへ繋がると信じて続けていきたい、と考えています。

記事執筆:伊藤緑(広報ウーマンネット 代表)