気になるSDGsコラム:最低賃金は適切な賃金なのか? 2022年は過去最大の31円引き上げだが……(2022.8.8)003

2022/08/08

気になるSDGsコラム

最低賃金は適切な賃金なのか? 2022年は過去最大の31円引き上げだが……

News
物価高で「過去最大」決着 中小支援が不可欠―最低賃金引き上げ
https://www.jiji.com/sp/article?k=2022080101093&g=soc

最低賃金 過去最大31円引き上げ目安示す 厚生労働省の審議会
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220802/k10013746961000.html

コロナ禍でより明らかになった非正規雇用の多さ

非正規雇用という言葉を、コロナ禍になってからより耳にするようになりました。終身雇用が当たり前だった時代、企業に雇われている人の多くは正社員だったと思います。もちろん、不定期で働くパートタイムでの方もいらっしゃいましたが。

そして、会社員という言葉は、
“会社員とは、会社に雇われ、働いている人のこと。ふつう、パートやアルバイト、契約社員や派遣社員などの非正規雇用を含めず、正規雇用の者をいう。”
https://chigai-allguide.com/cw0363/
と書かれています。

そして、厚生労働省のサイトには、「非正規雇用(有期・パート・派遣労働)」という言葉があります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/index.html

多様性という言葉とともに、働き方にも多様性を、と言われています。この働き方には、出社・リモート・オンライン・ハイブリッドなどの日々の働き方もありますし、雇用形態もあると思っています。

非正規雇用が悪いように言われる記事を見ますが、非正規雇用が悪いのではなく、非正規雇用の雇用条件や、急な解雇などが問題なのではないでしょうか?

働く人のなかには、非正規雇用を望んでいる人もいます。ちなみに私は、会社の代表もしていますが、非正規雇用で他の仕事もしています。これは経験したい仕事が非正規雇用で経験できるからです。またその仕事をすることで見える世界が増えるからです。

いろんな理由で働く方がいます。正規雇用望を望む方には門を広げてほしいと思いますし、非正規雇用の条件が、仕事の内容と合わない場合の見直しは同一労働同一賃金を掲げる国としては必要です。
同一労働同一賃金とは(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html

実は、最近知ったのは、教師の非正規雇用の多さです。将来を担う子供たちを教育する人たちがこのような状況で働いていて良いのか?と考えざるを得ません。
文科省が蓋をする「教師の非正規率」の衝撃実態 20%を超える勢いで上昇、自治体間で3倍の差
https://toyokeizai.net/articles/-/596089
使い捨てられる教師たち 「非正規教員」制度の構造的課題
https://www.jiji.com/jc/v4?id=202012hksk0002

これが現実なら、教師になりたいという学生が減っていることも理解できます。

最低賃金で人は生きていけるか?

さて、最低賃金の話です。実は最低自給について私自身あまり意識していませんでした。しかし、自分が非正規雇用で働く経験をすることで意識が高まりました(そういうことも目的で働いているのですが)。現在の東京の最低賃金は1041円(時給)です。国内で一番高いです。一番低いのは、高知県と沖縄県の820円。その差は、221円。土地による物価の差から生まれているものだと考えられますが、この差は正しいのか? そして、そもそも1041円(時給)という東京の時給も妥当なのか?

最低賃金で人は生活できるのか? をいつも考えています。

東京の場合:
1,041×40(1週間の基本勤務時間)×4(1ヶ月を4週と考えた場合)=166,560円
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/index.html#:~:text=%E6%B3%95%E5%AE%9A%E3%81%AE%E5%8A%B4%E5%83%8D%E6%99%82%E9%96%93%E3%80%81%E4%BC%91%E6%86%A9,%E3%81%AA%E3%81%91%E3%82%8C%E3%81%B0%E3%81%84%E3%81%91%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E3%80%82
使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。

166,560円から所得税や社会保険に入っていれば社会保険が引かれます。
東京で暮らすには厳しい金額だと感じます。
もちろん、世帯の補助的な収入と考える場合は別ですが、これで生計を立てるのは厳しいかもしれません。もちろん、働く人には、住む場所を変える、仕事を変える権利がありますから、受け身で甘んじる必要はありません。

2022年は、物価の値上げもあり31円のアップが報道されました。
1,072×40×4=171,520円

仕事にはさまざまなものがあり、今の時給でも充分すぎます、というものから、こんな時給で働いてられるか!というものまであると思います。もちろん、仕事内容によって企業が決める時給は違いますし、最低賃金はあくまで最低賃金です。
ただなんとなく、人の労働の価値が、「1時間=1,000円」というイメージです。最低賃金が1000円に満たない地域の方が多いですが。

賃金・最低賃金・家内労働関係(厚生労働省)
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/jirei_toukei/chingin_kanairoudou.html

最低賃金を決めている人は、こんな人

最低賃金を決めているのは国会、以下の給料をもらっている人たちです。

国会議員の給与は、以下の記事によると、
【2022年参議院選挙】もうすぐ参議院選挙! 「議員」の年収っていくら? どうやって決まるの?
https://financial-field.com/income/entry-144675
“国会議員の歳費は、参議院と衆議院の別なく全議員に同額が支給されます。金額は、「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」に規定されていて、月額129万4000円です。これに加えて、年2回の期末手当(ボーナス)が629万円支給されるため、合計約2181万8000円が国会議員の年収となります。”

仕事の内容により給与が違うのは当たり前ですが、日々の生活を支える人たちに非正規雇用が多く、最低賃金で働いている人が多いことをどのくらい気づいてくださっているか、問いたいです。

記事執筆:伊藤緑(広報ウーマンネット 代表)