SDGsネイティブ世代。格好いいから買っただけ。そんな商品を作るのが、大人の仕事なんだ。
SDGsネイティブ世代。格好いいから買っただけ。そんな商品を作るのが、大人の仕事なんだ。
以前、オーシャン・クリーンアップが発売した、海洋プラスチックごみで作られたサングラスを紹介しました。価格は約20,000円です。また、ナイキが、スペースピッピーという“廃棄物、つまり「宇宙ごみ」”で作られているスニーカーを発売しています。いくつかデザインがあり、価格は15,000円~20,000円程度です。これらの共通点は、環境のことを考えているということだけでなくオシャレであることです。Z世代(2000年~2010年に生まれた世代)やそれより少し上の世代が自然に買いたいと思うようなデザインです。友達に「それ格好いいじゃん!」と言われるような。
先日、Z世代にとって、“SDGsは自分ごと”と書きました。だからこそ、彼らは自然にSDGsネイティブ思考を持った人になってもらえたらと思っています。彼らにとって、スマフォが当たり前に存在しているように。自然に選ぶ商品が環境に配慮した商品であること。また、サービスや交通機関なども同様です。彼らが選ぶもの、使うものが、すでに環境に配慮したものにすり替わっている場を作ることが大人たちの仕事ではないでしょうか?
今の地球の状況(SDGsを考えなければならない状態)を作ってきたのは、高度経済成長期時代かもしれませんし、もっと前の時代からかもしれません。ただ、その時代にもその時代の問題があり、その時代を生きた人たちは、生きるために必死で闘い行ってきたことです。それが、海や森、気候へ今のような影響を与えてしまうことなど考える余裕がなかったかもしれません。しかし、地球がこのような状況になった今、大人たちができることは、次の世代が無理をせずSDGsに関わる環境を作ることだと考えます。そのひとつが、前述したZ世代やもっと若い世代が環境に配慮した商品を、自然に選ぶようになるということ。それくらい格好いい商品であり、買いやすい商品であることです。そのような商品やサービスを考えることが今、大人たちが次の世代に向けてできるです。
無意識に選んだ商品が環境に配慮した商品だった。その商品をきっかけにSDGsを知ることになれば、次に物を選ぶときの購入視点が変わるかもしれません。そうして、自分たちが生きる未来のことを考えるきっかけになる可能性もあります。スーパーのお菓子売り場で、つい見てしまうのはネスレ日本が発売するキットカットの外袋が紙製であることです。これは、2019年から行われています。そして、 “2022年までに100%リサイクル可能、あるいはリユース可能に”としています。子供たちも目にするお菓子をいう分野で、見て分かる他との違いは、「なんで?」のきっかけになります。
また、“エシカル消費(人や社会、環境に配慮した消費行動)”という言葉があります。1989年にイギリスで専門誌が発行されていますが、私が“エシカル”という言葉を知ったのは10年ほど前です。海外のエシカルブランドに関わる企業のPRに関わったことがきっかけです。しかし、日本ではエシカルはなかなか浸透しませんでした。実際、 “日本エシカル消費推進協議会”が設立されたのは2014年。消費者庁にエシカル消費の研究会である「倫理的消費調査委員会」が設置されたのは2015年です。ほんの5~6年前のことです。このように日本では歴史が浅い、環境に優しい商品を積極的に購入しようという意識が、SDGsネイティブ世代に自然に生まれていくことを願っています。
2020年11月2日には、ユニクロが昨年日本国内で回収した62万着のダウン商品を再生・再利用した新商品第1弾「リサイクル ダウンジャケット」を開始しました。また、それ以前に、生地の30%に、ペットボトルを再利用したリサイクルポリエステルを使用した服を販売しています。無意識に選ぶ服が環境に優しいものであることが、これから求められることです。
7月1日からレジ袋が有料化となり、4ヶ月半が経ちエコバックを持つ人、持たずにレジ袋を購入する人、それぞれ分かれてきたように感じています。しかし、エコバックが、持ちたくてしょうがないくらい格好よく持ち歩きやすいものであれば、きっと抵抗なくエコバックを使うでしょう。いや、エコバックという意識もなく選ぶかもしれません。Francfrancのエコバックが人気だとか、マツモトキヨシのエコバックがシンプルでオシャレだとかいうニュースを目にします。それを超えて、意識してエコバックを持つというより、自分が持ちたいバックを持つだけになれば、それは当たり前のこと。エコバックは買い物の際だけなく、急に荷物が増えたときにも実はかなり便利です。
SDGsネイティブとなってほしいZ世代やそれより若い世代を育てていくためには、無理に教えることよりも、選んだものが環境に優しいものであった。そこからスタートしていくことが大切ではないでしょうか? そして、それらは企業の仕事であり、大人たちの仕事なのです。
記事執筆:伊藤緑(広報ウーマンネット 代表)