テレビドラマで描かれる社会は、どのくらい先の未来だろうか?

2021/01/29

テレビドラマで描かれる社会は、どのくらい先の未来だろうか?

ドラマでの女性活躍について考える

テレビドラマが好きでよく見ています。気になるのは、ドラマ内では男性を部下に持つ女性管理職が多いということです。そして、女性の活躍が多く描かれています。現在、テレビ朝日で放送されている『24 JAPAN』では、女性総理誕生するかもしれない1日を描いています。しかし、現実の日本に女性総理は誕生していません。2001年からアメリカで放送された『24 -TWENTY FOUR-』も女性大統領ではなく、アメリカ史上初のアフリカ系合衆国大統領候補が描かれました。女性大統領ではなかったのです。しかし、2009年にアフリカ系アメリカ人・有色人種初の大統領バラク・オバマ氏が誕生しています。

女性初の捜査一課長

近年、警察ドラマが増えています。ドラマでは女性の捜査一課長も描かれます。そこで、現実に女性の捜査一課長はいるのかを調べてみました。すると、警察庁で女性初を繰り返してきた女性がいらっしゃることを知りました。

2015年1月16日の記事です。
女性初、警察庁捜査1課長に田中俊恵氏

6年前に岩手県警で、女性の捜査一課長が誕生していたことに嬉しさを感じました。特に警察庁は男性社会、そこで女性初を歴任してきた田中氏は多くの壁を打ち破ってきた方なのではないか、と思います。

そして、2019年には佐賀県で杉内由美子氏、滋賀県で滝沢依子氏が女性警察本部長に就任しています。女性初の捜査一課長の田中氏は、2013年に女性警察官で初の都道府県警本部長(岩手県警察本部長)に就任しています。杉内氏と滝沢氏は、全国で4人目と5人目とのことです。

佐賀県警本部長に杉内由美子氏 女性トップ、九州の警察で初
滋賀に近畿初の女性警察本部長、就任会見で「県民のために取り組む」
気づいていなかっただけで、男性社会に切り込んでいる女性がいらっしゃることに勇気をもらいました。しかし、まだまだ本当に少ない数字です。

女性活躍以外のドラマが描く未来

年始に放送されて話題になったのが、『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』。男性の育休、LGBT、夫婦別姓などの問題を盛り込んだ内容でした。ドラマで問題提起されることは、とても身近に感じることのひとつです。近年のドラマはリアルさが重視されます。SNSでの突っ込み多いですから、現実と乖離しすぎていると炎上しかねません。しかし、乖離の在り方が希望的であれば、可能性になると感じています。

男性の育休は義務化が進んでいますが、これは取得が義務ではなく「企業には、育休取得対象者に対して、取得する権利があることを必ず説明する義務がある」という制度です。選択肢が増えるということです。企業も人も正しく理解し、取得を希望する人が、“取得しづらい雰囲気”を感じないようにすることが一番です。

コロナ禍により働き方は大きく変わり始めています。今までのやり方だからとか、ずっと続いてきたから、という在り方がブラックという言葉に置き換わることも増えてきました。それを真摯に受け取り働く場を変える経営者がこれからの社会を作っていく人ではないでしょうか? 今、変えなければ企業は続かないという意見も出ています。そんな時代だからこそ、新しい制度を積極的に取り入れるタイミングだと感じています。そして、経営者だけでなく、働く人たちも勇気を持つことが必要です。

ドラマで描かれた男性の育休。私自身は出産経験がないので出産後の大変さを語ることはできません。しかし、ワンオペで産後鬱を引き起こすことがいることは多くの方が知ることです。また、ドラマで「子育てや家事を手伝う」と言った男性の言葉を指摘するシーンもありました。子どもは二人で育てるもの、と今は考えられています。そして、個人的には独りで生きている女性が、病気になったとき誰に付き添ってもらうか? は他人事ではありませんでした。
これらの内容には、もちろん賛否両論がありますが、どんなドラマもどんな現実も賛成があれば反対があるものです。それは、意識した人が多くいたという証でしょう。

理想論と言われても、理想を掲げなければ向かう場所さえ分からない。

「ドラマはドラマだからね」と言ってしまうこともでますが、ドラマというフィクションの世界で描かれる未来を記憶することで、どう進みたいのか? のロールモデルになれば良いと思っています。もちろん、そんなにうまくはいきません。ただ、愚痴を言いながら今の状況に甘んじていては変化はありません。そして、誰かのせいにしても何も変わらないのです。小さな力でも自ら動いてみることで変えられることもあると思います。もちろん大変で厳しく、反感をかうこともあるかもしれません。それでも、地球はそんな時期にきていると感じています。アメリカの市民活動家タラナ・バーク氏が提唱し活動する、#MeToo のように、個人の動きが世界に広がることもあるのですから。

「#MeToo」から2年…アメリカの職場では何が変わったのか

記事執筆:伊藤緑(広報ウーマンネット 代表)