リサイクル・リユースで追いつかない衣料廃棄物、土にかえる「和紙の服」
リサイクル・リユースで追いつかない衣料廃棄物、土にかえる「和紙の服」
土にかえる和紙の成分を使ったサスティナブルな服
2021年7月22日(木)からクレサヴァ株式会社が “和紙の生分解性を使った革新的サステナブルファッションを開発する”のための株式投資型クラウドファンディングサービスを行いました。7月26日現在、すでに終了していますが、応募金額は上限の60,000,000円に達したようです。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000083355.html
独立行政法人 国民生活センターのサイトの「衣料廃棄物について考える – 国民生活センター」
によると、日本の衣料廃棄物は年間約140万にトンも上ります。そのうち 80%近くが焼却・埋め立て処分されているとのこと。焼却をすればCO2が排出されます。また、埋め立てても土になるわけではありません。
また、環境省の「SUSTAINABLE FASHION これからのファッションを持続可能に」では、現在どのように衣料品のリサイクル・リユースが行われても、66%は焼却・埋め立てされていると書かれています。
今回行われたクラウドファンディングでの和紙の生分解性を使った服は、着用後、埋めることで土にかえり、土壌を豊かにするという検証がされています。
プレスリリースには、以下のように書かれています。
“従来の服流通が生産・販売・消費・廃棄という流れであるのに対して、消費された服を回収し、土の中で分解することで作物の成長を促し、そこで生産した野菜や果物を消費者に届けるサステナブルモデルを構築しています。このモデルを実現すべく、弊社は自然へと戻すことができる生分解性技術を活用した服の製造を手がけます。”
和紙を使った服を開発する企業
和紙を使った服と聞くと、洗えるのか? 破れないのか? という心配がありますが、この点は、しっかりクリアしています。ただ、価格は若干高めかもしれません。ファストファッションが増え、安価でそこそこ良いものが手に入り、ワンシーズンで廃棄する人も増えています。また、アパレルは流行りがある業界、何年も同じものを着るよりも最新のデザインを手にしたい方もいるでしょう。もちろん、一枚の服を丁寧に着続ける方もいらっしゃいますが、66%は焼却・埋め立てされる現実を考えたとき、これからの洋服選びを考える必要があるとも感じます。
無印良品で販売される「WASHI-TECH: Tシャツ」など和紙の服はいくつかある。
前述したクレサヴァ株式会社以外にも、調べてみると和紙を使った服を作っている企業がいくつかありました。
アパレルOEM・ODM生産メーカーの株式会社和興 が作っている「和紙のふく」は、“着なくなった『和紙のふく』を土に埋めると、約3か月程度で微生物による生分解が始まり、約半年後には完全に土に還ることが確認されています。”と書かれています。
https://www.wakoh.tokyo/washinofuku.html
すでに販売されており、WASHI-TECH: Tシャツ は、9,900円(税込)で販売されています。
https://wakohemg.thebase.in/
また、オンラインショップ以外にも、7月10日からは無印良品錦糸町パルコ店での発売が開始されています。手にとって確認したうえで購入した方には、店舗での購入は嬉しいことでしょう。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000057203.html
そして、巧流合同会社でも、オンラインで和紙の服が販売されています。
「【和紙の服】モックネックカットソー」は18,480円。割高だと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ブランドと考えれば積極的に購入される方もいると思います。
https://callkimono.base.shop/categories/2673064
将来的に私たちの衣料品の一部は、このような自然にかえるものに置き換わっていくのではないか、と考えます。
和紙を主原料とするTシャツとストール、ソックス、バッグ、タオル、帽子を販売する「カミト(KAMITO)」
もう一社、テキスタイル開発販売や衣料品のOEM・ODMを行っている繊維商社の豊通ファッションエクスプレス株式会社も和紙を使った衣料品を販売しています。
https://kamito-japan.com/ja
7月7日には、和紙素材でできたサラリと快適な「KAMITO x ORIGAMIX エスパドリーユサンダル」の発売がスタートしています。
衣料だけでなく、サンダルにも和紙素材が使われるようになっています。
和紙素材がスタンダートになる日が来るか?
また、大手企業に限らず、2018年10月に「洗濯機OK 美濃和紙の糸でつむぐ服、100年後には」という記事が出ています。
“和紙を作る時にできる細かな隙間が衣料品に向いているという。「隙間に水分を取り込むので、汗をかいてもべたつかずにサラッとしている」という。「今は珍しいかもしれないが、100年後にはスタンダードになっているかも」”と書かれているように、リサイクル・リユースだけでは追いつかない、衣料品の廃棄に対して素材から考える時代・和紙がスタンダートに来る時代がくるかもしれません。
記事執筆:伊藤緑(広報ウーマンネット 代表)